全脳科学帳

これを好む者はこれを楽しむ者に如かず

特殊相対性理論(1) ことはじめ

子供の頃から科学が好きで、科学に関する本をよく読み、科学者に憧れていた。

好きな科学者、興味を引かれた話を挙げていけばきりがないが、その中でも特に衝撃だったものの1つは、小学生の時に何かの読み物で読んだ「高速で動く物体では時間の進み方が遅くなる。そして長さが縮み、質量が大きくなる」という、アインシュタインの相対性理論(今考えると、その中でも主に特殊相対性理論)だった。「そんなSFみたいなことが本当にあるのか?」「なぜそんなことがわかるのだろう?」「それを発見したアインシュタインという人はどんな人なのだろう?」ということに強い興味が湧いた。

以来、いずれはちゃんと勉強してみたいと思いながら何十年も経ってしまったのだが、その相対性理論の勉強にようやく取り組むことにした。まずは話を慣性系(加速度を受けていない系)に限った、特殊相対性理論の方から取りかかる。

勉強し始めてみると、特殊相対性理論が何を主張しているのかについて私は全然ちゃんと理解できていなかったことがわかった。そしてこの理論がいかにすっきりと世界を記述しているかということも知ることができた。しかも、ほぼ中学程度の数学で理解できるようになっているのは驚きである。

さらに、この理論が発表された1905年当時、他の物理学者(ローレンツ、ポアンカレなど)もあと一息というところまで迫っていたこと、ただし当時の常識にとらわれず新たな視野を開いたという意味ではアインシュタインが抜きん出ていたことなどもなんとなくわかってきた。

もう一つ印象的なのは、アインシュタインの原論文がかなりわかりやすいものであること。特殊相対性理論の論文「動いている物体の電気力学」(Zur Elektrodynamik bewegter Körper, 1905)は「アインシュタイン 相対性理論」という本で邦訳を読むことができる。元の論文なんてどうせ難解なものだろうと思いながら読み始めてみると、これがわかりやすい。ところどころ「訳者補注」や「解説」を参照しながら読んだのではあるのだが、元々が論文というよりもまるで解説書のようである。

たとえば、この理論を理解するために重要な前提となる「同時刻の定義」については、原論文に書いてあることだけで十分理解できる。内容が革新的でありながらわかりやすいこのような論文を、当時一介のアマチュア物理愛好家(スイス特許庁の審査官)だったアインシュタインが発表したことのインパクトはどのようなものであったか。

特殊相対性理論についてはやっとわかってきたので、自分なりの理解をここに書いておきたい。どの解説を読んでも詳しい記述が飛ばされているところ、私には理解しにくいところがあって、それを自分の頭で補って言葉にしておくのは意味があると思うからである。

というわけで、自分なりの説明をこれから書いていく。まずは、特殊相対性理論の勉強に使った書籍・ウェブサイトを挙げておく。

  • 明解 相対性理論入門 ―正しい理解を求めて―」(恒岡美和)
    まずはこれで勉強した。平易にかつ要点を押さえて書かれているし、誤解しやすいところにも釘を刺してくれる。
  • 明解 相対性理論入門 ―正しい理解を求めて―」(恒岡美和)
    まずはこれで勉強した。平易にかつ要点を押さえて書かれているし、誤解しやすいところにも釘を刺してくれる。
  • アインシュタイン 相対性理論」(A. アインシュタイン , (訳)内山 龍雄)
    原論文とその解説。上に書いたように、とてもわかりやすい。アインシュタインが何を考えていたかを知るには必須の1冊。
  • 相対性理論」(内山龍雄)
    理解を補うために参照した。一般相対性理論を学ぶ時にも使おうと思う。
  • ウェブサイト「EMANの物理学」および書籍「趣味で相対論」(広江克彦)
    すばらしいサイト。このような内容を書いて(無料で)公開されているというのは本当に尊敬してしまう。しかもこの上なくわかりやすい。私のような者に何ができるかはわからないが、見習いたい。
  • 思考の飛躍―アインシュタインの頭脳」(吉田伸夫)
    アインシュタインが何を考えていたのか、当時の物理学界にとってどんな存在だったかを垣間見ることができる。相対性理論以外にも、量子論に関するボーアとの論争がどんなものだったかなどもわかった(私はかなり誤解していた)。

明解 相対性理論入門―正しい理解を求めて 相対性理論 (岩波文庫) 相対性理論 (物理テキストシリーズ 8) 趣味で相対論 思考の飛躍―アインシュタインの頭脳 (新潮選書)