全脳科学帳

これを好む者はこれを楽しむ者に如かず

引き算の減加法と減減法

id:Yama-Mikasaさんのブログ「読書生活」にこんなエントリがあった。

www.yama-mikasa.com

12 - 5のような繰り下がりのある計算を頭の中でどのように計算しているか? という問題。これくらいなら誰でも答を覚えていると思うが、覚えていないとしたらどう計算するかという話。

①12からまず2を引き、12-2は10。10から残りの3を引いて7。
②12を10と2に分けて、10-5は5。5に2を足して7。
ほぼこの二つのやり方で計算しているようです。みなさんはどちらですか?①ですか?②ですか?
 実は、日本人の9割の方は②のやり方で計算しているのだそうです。それは小学校1年生の算数教育によるものなのだそうです。今回はそういう話です。

これを読んで驚いた。私は「5から2を引いて3、10から3を引いて7」と計算していたからである。上でいうと①と同系統のやり方。つまり少数派だということになる。②のようなやり方は考えたこともなかった。非常に興味があったので、コメント欄でやりとりすることになった。id:Yama-Mikasaさんはこの問題を、子供の「思考と表現のずれ」の行動を調べていた時に偶然見つけられたとのことだった。

その時のコメントでも書いたのだが、私が繰り下がりのある引き算のやり方を「編み出した」のは4〜5歳のころだったと思う。その時に自分でも「変なやり方」だと思った記憶があるので、少数派だというのはわかる気はする。

調べてみると、論文が1つ見つかった。

[PDF]計算に困難を示す児童の指導 一 繰り下がりのある減法計算のストラテジーの変化 一

「繰り下がりのある減法計算のストラテジー」として代表的なものを7つ紹介していて、その中に以下の2つがある。

②減々法: 「14−6」の場合、減数の6を4と2に分け、「14−4」を行い、その答えの10から2を引き、答えの8を導き出す方法である。
(中略)
③減々法’:「14−6」の場合、被減数の14を10と4に分け、減数の6から4を引き、その答えの2を10から引く方法である。

「減々法」の系統としてこの2つが紹介されている。私のやり方は③になると思うが、②と③の違いがわからない。「減数の6を4と2に分け」というのは6から4を引くことに他ならないし、「『14−4』を行い」は「14を10と4に分け」と同じことを頭の中でやることになるはず。

この論文では続いて、「③減々法’」について以下のように解説されている。

これは、減々法の誤パターンと言われている。すなわち減々法では、その2つの引き算の操作は被減数から減数を引くものであるが、その操作の誤りで、減数から被減数の1位を引いている。減法計算の意味と数の構造の理解が十分できていれば、減数を予め減らしておき、計算しているとも言える。このような思考は、形式的操作の段階であり(片桐,1995)、具体的操作の段階である下がりのある減法計算の初期においては、減々法の誤りのパターンであることが多く、これで正解であることから定着させていることが多い。

「誤パターン」「その操作の誤り」と言われてしまった。納得いかないなあ。一方で「…理解が十分できていれば、…とも言える」と持ち上げてくれている(?)が、邪道だと言われている感じは否めない。

さらにこうも書いてある。

繰り下がりのある減法計算は、2年以降の筆算を考えた場合、減加法が適しているため、小学校1年生の教科書では、減加法の考え方が示されている。そして、ほとんどの子どもたちはこの方法で習得していくことになっている。

筆算の引き算(「10を借りてくる」方法)の時に減加法の方がいいと言っているのだが、私はまったく困ったことがないので理由がよくわからない。それに、筆算をやるころには「1□ - △」の答は全部覚えているものではないのだろうか。そうでもないのかな。

学校では減加法で教えているとあるのだが、私には教わった記憶がない。当時はそういう教え方をしていなかったか、減加法を教わっても私が無視していたか、どちらかだと思う。

私の通っている大人のための数学教室 和の松森先生がTwitterで質問を受け付けられていたので、この件を聞いてみた。

そろばんを頭に置くとは。習われてたのかな。「3に5を足す」の5は10から5を引いた結果の5なので、手順としては減加法の系統になるのではないか。