素数の逆数和が発散することをレオンハルト・オイラーが最初に示した時の証明を調べてみた。エルデシュの証明と同じく、これで素数が無限に存在することも言える。「素数が無限に存在することの証明(4)」で書いたオイラーの証明と同じアプローチを使っている。
証明
素数 を
と番号づける。各素数
に対し、等比数列の和の公式より
である。右辺をすべての素数について掛け合わせた値
を考える。これを(*1)の左辺の等比数列の和の方を使って表すと
これを展開すると、各項は の0乗以上を掛け合わせたものとなり、そのすべての組み合わせが現れる。すなわち
ただしこれは、0以上の整数値をとる数列 のすべての組み合わせにわたって和をとることを意味する。
任意の自然数は素数の積として表せる(証明は「素数が無限に存在することの証明(4)」参照。ここで1は素数の0乗の積と見なす)ことから、任意の自然数は (各
は0以上の整数)と表せる。したがって、任意の自然数
について、上記の
の総和表現の中に
が現れる。よって
次に、
のとき
である(証明は後述)。したがって(*2)の各項において、 より
これをすべての について掛け合わせると、(*2)より
(*3)より は調和級数以上の値を持つので、無限大に発散する(調和級数の発散の証明は「素数が無限に存在することの証明(4)」参照)。したがって
も無限大に発散する。これは、その指数である素数の逆数和が無限大に発散することを意味する。(証明終)
導入部分は素数が無限に存在することの証明と同じなのだが、(*4)に着目して一気に逆数和の発散を示してしまう。
(*4)の証明
のマクローリン展開
より、 において
である。 なら
であるから、
に
を代入して、
のとき
のとき、
であるから、上記の両辺に
を掛けて
両辺を で割ると
つまり
なので
となる。(証明終)
これを見ると、本題の証明の方で の代わりに
を使ってもよいことがわかる。