実関数 が
で連続であるとは、極限
が存在して
に等しくなることをいう。もっとちゃんと言うと、任意の
に対して
が存在して、
ならば
となることである。
関数 が
で微分可能であるとは、微分係数
が(有限の値として)存在することをいう。
で微分可能であるためには、上式の分子の極限
が0に収束しなくてはならず、このとき
となるから、
で微分可能ならその点で連続であるということが言える。したがって、
の値が存在する各点において、以下の3つのいずれかである。
(1) 連続かつ微分可能である
(2) 連続でも微分可能でもない
(3) 連続だが微分可能でない
数学で習う関数の多くは、いたるところで(任意の について)(1)になっている。
,
,
などがその例である(
の値が存在しない
のある関数もある:
,
,
など)。
いたるところで(2)つまり不連続となる関数が存在する。たとえばディリクレの関数と呼ばれる以下の関数がそれである。
つまり、 が有理数のとき1、無理数のとき0となる関数。どんなに短い区間をとっても1と0が混在するから、連続にはならない。
最近知ったのだが、このディリクレの関数を1行の式で定義することができる。関数の考案者であるディリクレ自身が作った式。
ここで ,
は自然数としての極限をとる。
が有理数の場合、
を大きくすれば
は必ず整数になるから、
は 1または-1となり、
は1となる。
が無理数の場合には
を大きくしても
は決して整数にならないから
であり、
を大きくしたときの
の極限は0になる。
ここで、 が有理数の場合には、
を大きくすれば
は整数になるだけでなく偶数になり、
は
の倍数になるから、
は -1 にならず 1 のみを値としてとるようになる。だから
の
乗ではなく
乗とした式
でもいいのではないかと思うのだがどうなのだろう。これだと、 が十分大きくなくて
の値が -1 になるときに
乗の値が振動してしまうのがよろしくないということなのだろうか。
ディリクレの関数は十分病的だが、いたるところで(3)、つまり連続なのにどこでも微分できないという、もっと病的な関数も存在する。その例として最初に考案されたのはワイエルシュトラスの関数。
ここで 、
は奇数の自然数、また
となるようにとる(これより、
は 7 以上の奇数ということになる)。たとえば
,
とすればよい。
この関数が任意の において連続かつ微分不可能となることの証明を読んでみた。
どの点 においても、その左と右から、ある近づけ方で極限をとると、微分係数は
と
となり、有限の値にも無限の値にも確定することはないのだった。