あるセミナー(数学とは関係ない)で講師の人が何かの例を説明する時に「マイナスとマイナスを掛けるとプラスになりますからね」と言ったら、参加者の一人から「なつかしい!」という声が上がったことがあった。「そうか、なつかしいのか…」と妙に感心してしまった。
「マイナスとマイナスを掛けるとなぜプラスになるの?」は、「数学でわからないこと」の定番として挙げられる。 はなぜ ではなくて なのかということである。
なぜなのかというと、「そう決めたから」「そうでないと辻褄が合わないから」としか言いようがないと思うのだが、もう少し説得力のありそうな説明をいくつか挙げてみる。
(1) 分配法則を使う
どんな数も を掛けると になる
を に置き換えた
分配法則を使った
を計算した
両辺に を足した
逆に言うと、マイナスとマイナスを掛けてプラスにならないと分配法則が成り立たなくなって困るのである。 しかしこんな式の変形だけで納得してもらうのは難しいな。
(2) 貯金と借金
スッカラカンでお金を全く持っていない状態が0、貯金がある状態がプラス、お金を持っていなくて借金だけがある状態がマイナスと考える。
- 現在貯金0で借金もない。毎日2万円稼ぐと3日後にはどうなっているか?
6万円の貯金がたまる - 現在0で、毎日2万円借金して全部使ってしまうと、3日後にはどうなっているか?
6万円の借金が残る - 毎日2万円稼いでいて、現在は貯金0である。3日前にはどうだったか?
6万円の借金があった - 毎日2万円使っていて、現在は貯金0である。3日前にはどうだったか?
6万円の貯金があった
日常生活の中で負の数を意識しやすいと考えられる「貯金と借金」「未来と過去」を使って説明しようというアプローチ。ていねいに説明すれば比較的わかりやすいと思うのだが。他にも水槽の水位を使って説明する方法もある。
(3) 九九の拡張
積は2ずつ減っていくので、さらに続けると
次に、
積は2ずつ増えていくので、さらに続けると
「マイナス×プラス=マイナス」を納得してもらっていれば、これは割とわかりやすいと思う。
(4) 足し算と引き算
- は、2を3回足すことである。
- は、-2を3回足す、つまり2を3回引くことである。
- は、2を-3回足す、つまり2を3回引くことである。
- は、-2を-3回足す、つまり-2を3回引くことであり、それは2を3回足すことである。
多分ややこしくてわかりにくい。