全脳科学帳

これを好む者はこれを楽しむ者に如かず

色覚異常(5) 検査

だいぶ前のことになってしまったが、3月に色覚の詳細な検査を受けてきた。

私の色覚異常がわかったのは小学1年の健康診断の時だった(→ 色覚異常(3) 発覚)のだが、それ以来石原式検査表以外での詳しい検査を受けたことがなかった。特に必要に迫られているわけではないものの、どの程度の異常なのかもう少し詳しく知っておきたいとかねがね思っていた。動機はほとんど好奇心である。強いて言えば、自分の孫(娘たちの子供)に出るかもしれない影響を知っておきたいというのもある。

検査を受けたのは、色覚の問題を考えるボランティアグループ「ぱすてる」の検査・相談機関のページに載っていた、大阪府守口市卯月眼科。色覚の詳細検査を受けるには事前予約が必要。

予約していた時間に行くと、まず普通の眼科診断(眼球に光を当てて診る、光を目で追うテスト、問診など)を簡単に受けたあと、色覚の検査へ。

現在一般に行われている検査の内容が滋賀医大眼科学講座の臨床的色覚検査方法のページで解説されている。これらの検査をほとんど全部受けた。

  1. 石原式検査表
    おなじみ、小さな丸がたくさんある中に見える数字を答える。いつもの通り、ちゃんとわかったのは最初のページだけだった。
  2. 標準色覚検査表(SPP)
    こっちだったと思う。東京医大表(TMC表)の方もやったかもしれない。やはり数字を当てるのだが、こちらは色のついた丸が格子状に並んでいる。あまり考えずに感覚で答えた。わからないものが多い。
  3. 色を近い順に並べる(多分、パネルD-15テスト)
    上面に色が描かれた16個の駒を色の近い順に並べる。最初の1個が指定され、それに近いと思うものから置いていく。
    迷いながら並べていくと、どこにも入れられないものが出てきてやり直す。それでも多分間違っている。こんな微妙なものに「正しい順番」があるようには見えないのだが、正常な人はほとんど一発で正しい順番に並べるらしい。
  4. 半円同士の色を合わせる(多分、アノマロスコープ)
    視力検査で使うようなスコープをのぞき込む。上下の半分が塗り分けられた円があり、一方の色を変えていって、もう一方と同じ色になったと思ったところでストップ。単純なだけに、どのくらいずれた色に設定してしまったのかは全然わからない。
  5. ランタンテスト
    運転免許の更新の時に受ける信号のテストと同じように、縦に出てくる2つの信号の色を次々に答える。正常な人にとっては「なんでこんなテストやるの?」というくらい簡単なテストらしい。これに四苦八苦。違う色が出ていることは一応わかるのだが、途中からどれを緑、どれを黄、どれを赤と呼ぶべきなのかわからなくなってしまい、かなりメチャクチャな答になったように思う。印象としては、免許の更新の時のテストより難しい。

いずれのテストも正解がどうであったのか教えてもらえないので、どれくらい合っていたのかはわからない。しかしどれも答に全く自信が持てない状態。はずしまくっていたことは間違いない。そのはずし方の傾向をみて、どのタイプの色覚異常かが決められる。

で、私に下された判定は「2型2色覚」。

それは一体どんな異常なのか? 色覚異常の分類については、以下のページに解説がある。

これらによると、

  • 眼の中の色を識別するところは錐体(すいたい)細胞と呼ばれ、L錐体、M錐体、S錐体の3種類がある。それぞれ、長波長(赤/黄付近)、中波長(緑/黄緑付近)、短波長(青付近)の光の識別を担当。
  • これら3つの錐体がそれぞれ働いているかどうかにより、2の3乗 = 8通りの状態がある。3つとも働いているのが正常、他の7通りはいずれも色覚異常
  • その他に、3つのうち1つが異常な錐体で置き換わっている場合がある。これらが3通り。
  • 合計すると、全部で10通りの色覚異常がある。

で、私の場合はM錐体が働いておらず、L・Sだけを使って色を認識しているという判定。2つだけ使っているので2色覚、欠損しているのが真中のM錐体なので2型。

検査結果は自分で思っているより悪く出るとは聞いていたが、3つのうち1つが全く働いていないという結果には驚いた。そこから受けるイメージは、自分の日常生活での実感とは大きく違う。しかし上記ページにも書かれている通り、M錐体の機能はL錐体でかなり補われるらしい。その結果として日常生活でほとんど支障のない状態になっているのだと思う。

言われてみれば、なんとなく自分は緑系統の感覚が弱いというか、緑色のインパクトが他の色に比べて弱いような気がする。しかし他の人の色覚を体験して比べることができるわけではないから、本当のところはよくわからない。

自分の色覚異常の程度がわかったからといって色が見分けやすくなるわけではないので、これからの生活への影響は特にない。しかし長年知りたかったことがわかったので満足だった。