3つ目の証明として、スティルチェスによるものを。 スティルチェスは19世紀のオランダの数学者で、解析学で業績を残した人。
この動画で3つ目の証明として紹介されている。
証明は短い。背理法を使う(※動画では変数 が重複して使われているので、以下ではそこを修正)。
証明1
素数が有限の 個しか存在しないと仮定し、それらを
とする。
とおき、 (
,
は自然数)という積に分解したとする。
は
を1つずつ因数として持っているから、どの素数
についても
,
のうち一方のみが
で割り切れ、他方は
で割り切れない。
そこで
という数を考えると、この数はどの
でも割り切れない。つまり存在する素数のいずれでも割り切れないから、素数を約数に持たない。よって
となる。しかし
,
であるから矛盾。
したがって、素数が有限個しか存在しないという仮定が誤りであり、素数は無限に存在する。(証明終)
ユークリッドの証明の時と同様に、同じ考え方で背理法を使わずに証明する方法を考えてみた。以下のようになるか。
証明2
任意の 個の素数をとり、それらを
とおく。さらに
とおく。
(
,
は自然数)という積に分解する。
は
を1つずつ因数として持っているから、どの素数
についても
,
のうち一方のみが
で割り切れ、他方は
で割り切れない。
そこで
という数を考えると、この数は1より大きいので何らかの素数
で割り切れるが、一方で上記より
は
のいずれでも割り切れないから、
はそれら以外の素数である。したがって
以外に素数が存在する。
以上より、どんな自然数 に対しても
個より多い素数を得ることができるので、素数は無限に存在する。(証明終)
コツが少しわかってきた。「 個と仮定すると矛盾」を「
個に対して必ず他のものが存在する」に変えればよいのである。やはり背理法を使わない方が気持ちがいい。